第3回 ビブリオバトル はぴの陣 開催記録

平成28年7月29日(金曜)「第3回 ビブリオバトル はぴの陣」が開催されました。

まずは中央図書館長から、今回のテーマはさいたま市で9月に開催される国際芸術祭「さいたまトリエンナーレ」に関連して「芸術」としていることのお話があり、バトラー(参戦者)として応募してくれた市内の中・高生5人に応援のメッセージが送られました。
では、バトルを始めましょう!

①『楽園のカンヴァス』 原田マハ 作  新潮社

「アンリ・ルソー」の名作「夢」に酷似した「夢を見た」の調査を行うこととなった主人公・ティムとその対立候補・オリエ。調査を依頼した人物が希望するのは「夢を見た」の真贋。しかも、優れた講評をした方には、この「夢を見た」が与えられるという・・・。

このミステリーには探偵や犯人は登場せず、暴かれるべきは2人の天才画家の「想い」だとバトラーは主張します。観戦者たちにいくつもの“謎”と“興味”を残しつつスピーチは終了。この謎たちがどのように収束して、どんな結末を迎えるのでしょうか。

第3回はぴの陣 写真「美術書も持参して、実際にどのような絵であるか、わかりやすく説明してくれました」

②『新釈 走れメロス』 森見登美彦 作  角川文庫

第3回はぴの陣 写真「頬を伝うのは感動の涙ではなく、笑いの涙です。」

この作品は「太宰治の『走れメロス』を現代風にアレンジした」“感動作”ではない。メロスに当たる芽野史郎(めのしろう)は、友人の芹名雄一(せりなゆういち)を身代りに、姉の結婚式に出るからと、舞台である京都の町へ駆け出す。しかし、そもそも芽野に姉などいないのだった。

嘘をついて逃げてしまうような主人公・芽野は正義感は強いが飽きっぽさも人一倍という人物に書かれていますが、罰を提案するのは大学の最高権力者の長官、舞台は京都と現代になじみやすく構成されています。太宰治の原作を読んでから読むと、2倍楽しめます。とアドバイスがありました。

③『女王はかえらない』 降田天 作  宝島社

小学3年生である「ぼく」のクラスにはスクールカースト(クラス内の階級制度)があって、女王であるマキが権力を奮っていた。東京からの転校生エリカがやってくることで権力闘争が起こり、エリカが新女王となるが、権力闘争は終わらない。そして夏祭りの夜、大事件がおこってしまう。

小学生だった頃、女王はいましたか?という観戦者への質問から始まったスピーチは、今、学校生活とかかわっている中・高校生・学校の先生方に読んでほしい。また、保護者の方は自分の小学生の頃と重ね合わせて読んでみてください。と締めくくられました。

第3回はぴの陣 写真「みんなと仲良くしたいという気持ちが強いので、女王にはなりたくありません」

④『シューマンの指』 奥泉光 作  講談社

第2回はぴの陣 写真「大好きな音楽とミステリーを合わせた 音楽ミステリー という言葉が気になり読んでみました。」

学生である永嶺修人、友人の里橋優、鹿内堅一郎が音楽を共有するための交換ノートをはじめるなかで女子高生殺人事件が起こる。その後、ピアニストでもある永嶺修人の指がなくなってしまうという事件が起こるが、30年後には、指の無いはずの永嶺がピアノを弾いている記事が新聞に載り、記事を読んだ里橋は交換ノートと自分の指を置いて消えてしまう。なぜ永嶺はピアノを弾けたのか、犯人はいったい誰だったのか。里橋はどこに消えたのか。

自分自身の価値観、見方、感じ方でこの本を読んだというバトラーですが、違う人が読んだ時には違った楽しみ方があって、答えは一つではないと言います。題名にもシューマンの名前がありますが、そんなシューマンの生涯にも注目しながら読んでいくと、自分の読み続けていた時に思っていた感情と全く別の真相や秘密が最後に明らかになるそうです。どんな真相なのでしょうか。

⑤『チア男子!!』 朝井リョウ 作  集英社

大学の柔道部を退部したハルは親友からチアリーディングをやらないかと言われ、仲間を増やしながら、全国大会を目指し日々練習していく。仲間同士で衝突や気持ちのすれ違いをおこしながら全国大会へ参加をするまでになったが、前日まで納得できる演技ができない。そこでコーチが行ったあることがきっかけでチームはまた一つになっていく。

チアリーディングはスポーツですが、芸術でもあります。それはスポーツで唯一、他の人を応援することができるスポーツだからです。とテーマとの関連性を説明してくれたバトラー。この本で人を応援するとはどういう事なのかがわかる。と教えてくれました。

第3回はぴの陣 写真「チアの芸術の部分は息と心をそろえた演技の美しさや生命力にあると思います。」

 

5人全員の発表が終了し、投票タイムに入ります。参戦者・観戦者全員が、“一番読みたくなった本”1冊に投票します。
そして、一番得票が多かった本が“チャンプ本”になります。

集計が終わったら、いよいよ結果発表です。
チャンプ本は…

 

③の『女王はかえらない』に決定!

チャンプ本を発表したバトラーに、中央図書館館長からチャンプ本認定証と記念品の贈答です。バトラーからは喜びのコメントがありました。

他のバトラー全員には記念品がプレゼントされました。

第3回はぴの陣 チャンプ本決定
第3回はぴの陣 参加者全員で記念撮影

最後は、バトラー全員ととしょ丸で記念写真です。

こうして「第3回 ビブリオバトルはぴの陣」は幕を閉じました。
観戦した方からは「素晴らしい発表でした」「この催しを引き続きつづけてほしい」といった感想もいただきました。

今回発表したオススメの本は、平成28年10月発行の「はぴ」34号にも掲載します。
どうぞお楽しみに。
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(記録:「はぴの陣」実行委員)