第5回 ビブリオバトル はぴの陣 開催記録
平成30年7月27日(金曜)「第5回 ビブリオバトル はぴの陣」が開催されました。
まずは中央図書館長から、今回のテーマは翌日に皆既月食が見られることにちなみ「宙(そら)」としていることのお話があり、バトラー(参戦者)として応募してくれた市内の中学生6人に応援のメッセージが贈られました。
では、バトルを始めましょう!
①『最後の医者は雨上がりの空に君を願う』 二宮敦人 作 TOブックス
もし死の瀬戸際に立たされたら、生をあきらめない医者と死をすすめる医者のどちらを選びますか?死をすすめることも治療のひとつと考える医者と、奇跡を信じて生きることをあきらめない医者。患者に対する考え方がすれ違う二人が同じ手術に挑むことに。一体どうなるのか、あなたの目で確かめてください。
この本に出てきた「晴れの日も雨の一部」という言葉が印象的だったため、今回のテーマ「宙」の本として紹介します。この言葉によって苦手なものをどうやったら楽しめるか考えるようになりました。
②『雲のむこう、約束の場所』 新海誠 原作 エンターブレイン
今回は、表紙がエメラルドグリーンの空と白い雲のこの本を紹介します。南北に分断された日本が舞台となっており、青森の津軽海峡から南が日本で、北海道以北は別の国に占領されて塔が立っています。この塔に憧れる中学生2人が飛行機を作って行ってみようとしますが、一緒に旅立とうと誘っていた少女が飛行機の製作中に消えてしまいます。
消えた少女はどこへ行ったのか。中学生たちは本当に旅立てるのか。実際に読み進めてみてください。
③『たったひとつの冴えたやりかた』 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア 作 早川書房
宙といえば宇宙。宇宙といえばSF。そこで初心者の私でも読みやすい、SFファンタジーを紹介します。舞台は連邦宇宙。主人公の少女は誕生日にプレゼントされた小型宇宙船を改造して銀河に旅立ち、行方不明の人間2人を探しにいきます。しかし、冷凍睡眠から目覚めた彼女の頭には未知の生物が住み着いていました。
種族は違っていても愛や勇気、友情などの感情は共通しており、2つの種族の心の動きが繊細に描写されています。ラストはきっと目頭が熱くなることでしょう。
④『ヤッさん』 原宏一 作 双葉社
仕事も家も消えたタカオの前に現れたのは、ホームレスでありながら恐るべき食の達人・ヤッさんでした。そんな彼の周りで起こる食の世界の事件をヤッさんが次々と解決していく、爽快ヒューマン小説の決定版です。
テーマ「宙」との関係ですが、「とき」・「時間」という点で結びついています。おいしいものを食べているとき・面白い本を読んでいるときはあっという間に時間がたってしまいませんか?その2つの要素が入ったとても魅力的な本です。
⑤『浜村渚の計算ノート』 青柳碧人 作 講談社
この本は、義務教育から数学が完全に消えた日本が舞台になっています。この数学排斥運動に対抗し、テロ組織が数学に絡めた大規模テロを起こします。しかし、数学音痴ばかりでお手上げ状態の特別対策本部。そこで助っ人として連れてこられたのが数学大好き少女・浜村渚でした。彼女は得意な数学を生かしてテロ事件を解決していきます。
夜空に輝く星の数ほど数学にあふれたミステリー、年齢や数学の好き嫌いに関わらず読んでほしいです。
⑥『銀河鉄道の父』 門井慶喜 作 講談社
この本は、銀河鉄道の生みの親である宮沢賢治と、その家族について詳しく書いてあります。裕福な質屋に生まれた彼は、質屋を繁盛させていた父のように誰もが尊敬する人になりたかったけれども、その力はなく、病弱なため家族と長く過ごせないと思っていました。そこで子どもの代わりに童話を育てることを決意し、作家を志したのです。
親子は対立しながらも、支えて許し、最後には背中を押した父。この本を読んで宮沢賢治の人生を味わうと同時に、家族の愛を見つめなおすきっかけにしてください。
6人全員の発表が終了し、投票タイムに入ります。参戦者・観戦者全員が、“一番読みたくなった本”1冊に投票します。
そして、一番得票が多かった本が“チャンプ本”になります。
集計が終わったら、いよいよ結果発表です。
チャンプ本は…
④の『ヤッさん』に決定!
チャンプ本を発表したバトラーに、中央図書館資料サービス課長からチャンプ本認定証と記念品の贈呈です。
バトラーからは喜びのコメントがありました
参戦してくれた他のバトラーにも記念品がプレゼントされました。
最後は、バトラー全員ととしょ丸で記念写真です。
こうして「第5回 ビブリオバトルはぴの陣」は幕を閉じました。
観戦した方からは「とても有意義だった」「親子で楽しめた」といった感想もいただきました。
今回発表したオススメの本は、平成31年1月発行の「はぴ」43号にも掲載します。
どうぞお楽しみに。
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(記録:「はぴの陣」実行委員)