バラのまちだより No.30

ハーバリウム ~インテリアとして楽しむ~

 ボトルの中に光と植物を閉じ込める「ハーバリウム」。ハーバリウムとは、もともとは植物の品種などを保存する「植物標本」をさす言葉ですが、今話題のハーバリウムは、ドライフラワーやプリザーブドフラワーをオイルと一緒にボトルに詰め、インテリアとして楽しむタイプのものです。

 バラだと、例えばスプレーローズ。スプレーローズをボトルにスッと1~2本挿すだけで、バラの気高く美しい、それでいてちょっと可愛らしい表情が引き立ちます。また、ワイルドローズの実で作るハーバリウムも。その美しい佇まいによりスタイリッシュな世界を感じることができます。

 楽しみ方は、ギフトにする、押し花、吊るす、大容量ボトル、オイルランプ……。癒しの世界が広がります。

 光を採りこんで輝き、オイルの中でふわりと漂う花々の姿は、まさに自分だけの小さな花園です。作り方も簡単、お手入れ不要の美しい花のインテリアをあなたも作ってみませんか?

参考資料

薔薇の歳時記

 薔薇は、その美しさから、多くの俳句に詠まれてきました。
 ここでは、薔薇を表す季語とともに、俳句をいくつかご紹介します。
 季節を感じながら楽しんでみてください。

 
初春 【薔薇の芽】 薔薇(ばら)芽立(めた)つ 野(の)茨(いばら)の芽(め)
 
 休眠期の剪定が終わったあと、剪定した箇所から薔薇の芽が伸びます。
 朱色を帯びた芽、緑色の芽、丸みを帯びた芽など、品種によってその芽立ちは様々です。

   野いばらの芽ぐむに袖をとらへらる  水原秋桜子
   薔薇の芽や子規の一書に一礼す    永島靖子

 
初夏 【薔薇】 薔薇(そうび) しょうび 花(はな)ばら
        薔薇(ばら)香(かお)る 薔薇(ばら)散(ち)る 薔薇(ばら)園(えん)


 単に「薔薇」の場合は、夏の季語です。5月~6月頃に開花します。

   手の薔薇に蜂来れば我王の如し    中村草田男
   夕風や白薔薇の花皆動く       正岡子規
   薔薇呉れて聖書かしたる女かな    高浜虚子
   咲き満ちて雨夜も薔薇のひかりあり  水原秋桜子
   薔薇垣の夜は星のみぞかがやける   山口誓子

 
仲秋 【秋薔薇】 秋(あき)の薔薇(ばら) 秋(あき)そうび

 四季咲きの品種であれば、秋にも開花することができます。
 8月下旬~9月上旬に剪定をすることで、10月の開花に備えます。

   秋薔薇の高さに白き船懸る     原田青児
   秋薔薇やこの日の栄えの加賀衣裳  水原秋桜子
   秋薔薇の香のこもれるに明の鐘   水原秋桜子

 
三冬 【冬薔薇】 冬(ふゆ)の薔薇(ばら) 冬(ふゆ)薔薇(そうび) 寒(かん)薔薇(そうび)

 四季咲きの品種は霜の降りる頃まで咲き続けます。
 多くは気温が下がるにつれて葉を落とし休眠に入りますが、寒さに強い品種は12月になっても蕾がいくつか残ります。

   思はずもヒヨコ生れぬ冬薔薇  河東碧梧桐
   冬薔薇は色濃く影の淡きかも  水原秋桜子
   冬薔薇石の天使に石の羽根   中村草田男


 ※【バラの剪定】主に、冬・夏に2回行います。
   冬の剪定:休眠期の1月末~2月頃に行います。
        生長期に向け、新しい枝に養分を集中させることが目的です。
   夏の剪定:四季咲きの品種のみ行います。 一般的には8月下旬~9月上旬に行います。
        秋の花を綺麗に咲かせることが主な目的です。

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バラジャムでロシアンティーはいかが?

 毎日のせわしない日常に、ちょっと一息つきたいことがあると思います。そんな時はバラを使った飲み物はいかがですか。バラの香りにはリラックス効果があると言われ、きっと、日頃溜まったストレスや緊張をほぐしてくれることでしょう。 

 そこでおすすめなのが紅茶にジャムを添えた飲み物、日本ではロシアンティーと呼ばれ親しまれています。紅茶の香りとバラの香り。想像しただけでも至福の時が過ごせそうです。 

 この「ロシアンティー」、の名称の元となったロシアでは、かつては紅茶が高価だったというのもあって、一般には茶葉に果実や薬草を混ぜていました。かたや貴族たちはストレートティーにデザート代わりのバラジャムを添えて、香りとともに楽しんでいました。 

 では、バラのジャムの作り方(レシピ)の一例をご紹介します。
  (1)無農薬の食用のバラの花びらを、ここでは(大)8輪分用意します。
  (2)事前にバラの花びらを水で丁寧に洗い、水分をよくきっておきます。
  (3)鍋に水400㎖、バラの花びらを入れて中火にかけ、沸騰したら火をとめて蓋をし、冷めるまで約1時間おきます。
  (4)冷めたら、こし器でこして、花びらを取り除いた後に汁を戻し入れます。
  (5)レモン汁大さじ2、赤すぐり200gを加えて、アクを取り除きながら中火にかけます。
  (6)煮立ったら、こし器でこして、赤すぐりを取り除きます。
  (7)汁を戻し入れ、グラニュー糖200gを入れて中火で煮詰めます。 粗熱が取れてできあがったら、煮沸消毒した保存瓶に詰めます。冷蔵庫で約ひと月保存可能です。(出典『加藤千恵のバラのお菓子』)
 紅茶だけではなく、パンやヨーグルトにも合いますよ。

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