Train Library No.10

Train Library No.10表紙

あなたはもう読んだ?~オススメ鉄道本~

日本おもてなし鉄道 日経デザイン/編 日経BP社 2016年

 「おもてなし」といえば、日本独特の、心のこもった接客や応対のことを言いますが、この本に出てくる「おもてなし」はそれだけではありません。趣向が凝らされたデザイン、風光明媚な景色、思わず楽しくなる食事などで乗客の心を鷲掴みにする「おもてなし鉄道」を紹介し、また、観光資源として長期的に地域に貢献するために必要なことは何かを考察しています。特に、「ななつ星in九州」や長崎を走る「或る列車」を始めとした車内外のデザインの絢爛さ、こまやかさには目を見張るものがあります。是非、一度乗車して最上級の「おもてなし」を堪能してみてください。

全国駅そば名店100選 鈴木 弘毅/著 洋泉社 2015年

 鉄道に関係する食べ物といえば駅弁とともに駅そばが挙げられます。駅そばは、チェーン店の概念がほとんどなかった頃に地元の事業者が始めた店舗が多いため、今では同じ店名でありながら駅によって麺やつゆ、メニューが違う場合があるそうです。本書では、駅そば研究の第一人者たる著者が食べて選んだ2014年12月末時点の全国の名店100選が紹介されています。市内では南浦和駅の「一ぷく」が名を連ねていましたが、残念ながら昨年秋に閉店してしまいました。

鉄道計画は変わる。 草町 義和/著 交通新聞社 2014年

 九つの鉄道計画の変遷を語る本書は、第一章で「東京~大宮間の鉄道計画の変転」を取り上げている。東北・上越新幹線は、現在の戸田公園駅から大宮駅の手前までは地下化で計画されながら、県南地域の軟弱地盤によりトンネル建設は技術的に困難とされ、高架橋方式に変更された。そして、この変更が、騒音問題の発生を危惧した住民の猛反対を招いたのだった。そこで「見返り」として通勤別線の併設が提示され、今では沿線住民のなくてはならない通勤通学の足となる「埼京線」が生まれた。もしも新幹線が地下化されていたら「埼京線」は存在したのか。この他の路線の「変転」にも興味がひかれるところだ。

コラム

 ふだん当たり前のように乗っている電車ですが、近年車体広告による宣伝が目にとまります。通勤時間帯はかなりの人数の目に触れ、鉄道の沿線を通行する人も見る事となり、その宣伝効果は、計り知れないそうです。車体広告の、歴史は意外と古く、1964年(昭和39年)に長崎電気軌道の路面電車で実施されたのが、日本で初めてだと言われています。何気なく目を向けてみると、違う世界に出会えるかもしれませんよ。

資料案内

東京堂出版

新着資料の中から注目の1冊を紹介します。

駅名・地名不一致の事典 浅井 建爾/ 東京堂出版 2016年

 全国には一万近くの鉄道駅がありますが、駅名と地名は必ずしも一致していません。なぜなら、町村合併や行政区画が変更に伴い旧地名が消滅をしたりと時代と共に、街は変化し続けているからです。この本は、このような駅名と地名の不一致がなぜ起こっているのかを、駅周辺の様子と駅名の由来などを合わせてわかりやすく解説しています。

編集・発行:大宮西部図書館 さいたま市北区櫛引町2-499-1  TEL 664-4946

編集後記

 皆様のおかげで10号を迎えることができました。今後も「Train Library」をよろしくお願いします。