バラのまちだより No.18

バラのまちだより No.18表紙

バラ鑑賞おすすめスポット

 中央区では与野公園以外にも区役所周辺や与野本町駅前など、至る所でバラを鑑賞することができます。では中央区の他に鑑賞できるスポットはどんな所があるのでしょうか?
 まず埼玉県のおすすめスポットとして紹介したいのは、県内最大のバラ園を持つ伊奈町の「伊奈町町制施行記念公園」。約300種、4000株のバラが咲き、中央区と同じようにバラまつりが開かれます。また川島町の「川島平成の森公園」には、花のトンネル日本一の330.5mのバラのトンネルがあります。まるで童話の世界のようですね。他にも毛呂山町にボランティアの方が作り上げた「滝ノ入・ローズガーデン」や熊谷市の「道の駅めぬま・アグリパーク」というスポットも。
 少し足をのばすと千葉県には「京成バラ園」、東京都には「青和ばら公園」。神奈川県には春と秋の開花時期のみ一般公開されている隠れた名所「生田緑地ばら苑」などがあり、関東近隣だけでもあちこちで鑑賞することができます。
 バラの咲く季節は行楽にも最高の季節。バラのまちめぐりに出かけてみてはいかが?

参考文献

バラはどんな風に作られているの?

『農家になろう6 バラとともに』 農文協/編 農山漁村文化協会

日本では菊・カーネーションの次に出荷量の多い切り花、バラ。愛知県・静岡県・福岡県などで生産されています。
 この本では兵庫県加東市でバラの栽培を行う浅見均さんに密着。浅見さんのハウスでは育種用のバラと出荷用のバラとでは育て方が違うそう。タネをまくところから実際に出荷するまで、そして新しい品種を作り出すまでを追います。
 バラの育成は数年がかり。大切に育てたバラを使う人に最高の状態で届けるため、細心の注意をはらっている様子がとてもよく伝わります。浅見さんのバラへの愛情が詰まった一冊です。

雑誌『趣味の園芸 2015年5月号』NHK出版

バラがテーマのこの号は、育て方や増やし方だけでなく、バラと一緒に育てることで庭がよりきれいに見える相性抜群のクレマチスとの合わせ方など、すぐにでも始めてみたい情報が盛りだくさん載っています。
 そして目を引くのは「最新&おすすめバラ・セレクション2015」の特集。雑誌ならではの速さで今年の春に発表されたバラの最新品種が大きな写真とともに紹介されています。大輪のものや幾重にも花びらが詰まったものまで、まるで今にも香りが届きそうな姿にウットリ。左ページで紹介している『農家になろう6 バラとともに』と併せてお読みいただくと、実際に新種を作り出すことの苦労、そして喜びが分かります。
 ☆新種の情報は『NewRoses ローズブランドコレクション』産經メディックス のシリーズなどでも紹介されています。

薬としてのバラ

古くから多くの人々に愛されているバラ。初めて文献に登場したのは、今からおよそ4000年前のバビロニアの叙事詩『ギルガメシュ物語』です。その中で当時のバビロニアでは鑑賞用だけではなく、香料や薬用として栽培されていたと記録されています。その後もバラは世界各地で薬草として利用されてきました。
 日本でもバラを医療の現場で使っていた記録があります。世界で初めて全身麻酔による手術を行ったことで知られる江戸時代の医師華岡青洲は、バラの花から抽出した水分から作られる消毒液である「ロウザワアトル」を使用していました。このロウザワアトルはエレキテルで有名な平賀源内が、著書『物類品隲』(1763年・宝暦13年/刊)の薔薇露の項で製法を紹介しています。

紅毛語ロウズワアトル…此の物ランビキを以て薔薇花を蒸して取たる水なり。薔薇の類多し、就中野薔薇花を最上とす…。此の水外療に以て功効多し。紅毛人常に長崎に持来る。…
(『物類品隲』日本古典全集 正宗敦夫/編 日本古典全集刊行会 1928年)

 ロウザワアトルはオランダ人によって日本に持ち込まれ、平賀源内は文中に登場するランビキという蒸留装置を使って抽出していました。華岡青洲はこの『物類品隲』に基づいて、門人とともに野薔薇を採草し、自らの医学塾で製造して消毒に使用したのです。
 現代でもバラの精油は心身の不調の改善を目的として、自然療法(アロマテラピー)や飲用(ローズヒップティーなど)に利用されています。薬としてではなくても、咲き誇るバラの美しさと芳醇な香りに癒された経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

参考文献