バラのまちだより No.33

ファンタジー小説で「バラのまちだより」が登場!?

「あとね、私が書いている『薔薇通信』も良かったらもらって。薔薇って色や本数で違った花言葉や意味があるのよ」 

(中略)そこには、薔薇の花言葉や、花びらの活用法、水揚げの仕方などが丁寧に書かれていて、ありすは感嘆の息をついた。

                                        ――『京洛の森のアリス 3』p.17より――                                                                                           

 『京洛の森のアリス』に登場する『薔薇通信』は、与野図書館の発行している『バラのまちだより』と同様、バラをネタにしています。このように、他の書籍の中にも探してみると『バラのまちだより』に似たものが見つかるかもしれませんね。

 『京洛の森のアリス』シリーズは、不思議な世界を舞台に展開されるファンタジー小説です。少女ありすは、初老の紳士に導かれ、「京洛の森」に辿り着きます。「京洛の森」は、京都によく似ているものの、うさぎや蛙が喋るような不思議な町でした。実は京洛の森にはある仕組みがあって、それができなかったありすは、急激に老いてしまいます。ありすは無事に元の姿に戻れるのでしょうか。

 続きはぜひ本をお手に取って読んでみてくださいね。

参考資料

万葉集に詠まれたバラ

 『万葉集』にも詠まれた「ノバラ」(野生のバラ)の代表種は、「ノイバラ」です。原野に自生する、つる状の落葉低木で、鋭いトゲをまばらにつけます。果実は落葉後も残り、赤く、光沢があります。また、栽培バラ類の接ぎ木の台になります。

 古名は「ウバラ」あるいは「ウマラ」で、のちに「イバラ」に転じました。

 『万葉集』には、「ウバラ」あるいは「ウマラ」と出てくるのが2首あります。ひとつは「カラタチ」、もうひとつは明らかに「ノイバラ」を指すと思われます。

 からたちの茨(うばら)刈り除(そ)け倉建てむ 
   屎(くそ)遠くまれ櫛(くし)つくる刀自(とじ)
                   忌部首(いむべのおびと)
                   
(巻十六 3832)

 「カラタチ」の刺をもった、いばらを取り除き、わたしはそこに倉を建てようと思っている。それで櫛づくりのおばさんもっと遠くで用をたして下さい。というもので、一般の和歌とは違って風流とか、みやびという言葉からは遠いものです。万葉集ではこれを戯笑歌といっています。

 万葉集では「カラタチ」はそのするどい刺のためにいばらの代表として扱われています。つまり人を寄せ付けない親しみにくい存在という意味で、これは平安時代を経て江戸時代まであまり変わっていません。

 道の辺(へ)の茨(うまら)の末(うれ)に延(は)ほ豆の
   
からまる君を別(はか)れ行かむ
               
天羽郡の上丁丈部鳥(あまはのこほりのじゃうていはせ
               べのとり)
               
(巻二十 4352)

 歌は、道ばたの「ノイバラ」の枝先にからみつく「ヤブマメ」や「ツルマメ」のように、わたしにからみついて離れない主人の若君を後に残して、私は防人として別れて行くことであろうか、つらいことである、という意です。

 これは、上総国の天羽郡出身の若者が防人として九州筑紫に赴く時の歌です。「うまら」は「うばら」の、「延ほ」は「延う」の、「はかれ」は「わかれ」の、いずれも東国方言です。

 「うまら」は刺の意にも使われることもありますが、この歌では、植物名として用いています。植物として「うまら」が最初に現れるのは、奈良時代の初め、和銅六(七一三)年に出された『風土記』の中です。常陸国風土記に“土蜘蛛と呼ばれる悪者たちの留守中に、彼らの住む穴倉に「うばら」をたくさん入れ、外に出ている悪者たちを攻め立てたところ、穴の中に逃げ込み、そのいばらのために全滅したので、このあたりを茨城(うばらき)というようになった”というものです。

 奈良時代まで、「カラタチ」や「ノイバラ」は、人を傷つけるものとして扱われていたのが平安時代になると、

 なつかしく手には取らねど山がつの垣根のむばら花咲きにけり
                         曽根好忠

といったように、観賞の対象となっています。

 「むばら」というのは平安時代の表記で、奈良時代の「うばら」の意。

 歌の意は、手にとってはみないが、山里の木こりの家の垣根に咲いている「うばら」の花に心を引かれることだ、というものです。

 他にも、江戸時代以降に「ノイバラ」を詠んだものとして以下の俳句・短歌があります。

 花いばら古郷(こきょう)の路に似たるかな                                       
                 
与謝蕪村
 古郷(ふるさと)やよるもさはるも茨(ばら)の花
                    小林一茶
 憩ひ来て丘に上れば名を知らぬ鳥啄(ついば)めり赤き茨(ばら)の
                             石川啄木

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ローズヒップで内面からキレイに!!

 ローズヒップとは、ドックローズ(和名イヌバラ(学名ロサ・カニナ))やスイートブライアーなどの野バラの実で、赤い果実です。ヨーロッパで古くからジャム、ゼリー、ローズティ-などに利用され、ビタミンCを多く含んでいます。さわやかな甘い香りと、フルーティーなほどよい酸味が特徴です。ビタミンC、A、E、Pを豊富に含む、まさにビタミンの宝庫ですね。「ビタミンCの爆弾」などとも呼ばれ、100gあたりの果肉にビタミンC含有量がレモン果汁の約20倍あります。疲労回復、目の疲れや便秘、生理痛、夏バテや風邪に効果があります。妊娠中の栄養補給にもおすすめです。実をつぶしてからお茶にすると、有効成分を抽出して濃縮したエキスの浸出が早くなります。また、種からとれる、ローズヒップ・オイルの原液を薄く直接肌につけることで、毛穴の引き締めやシミ、シワ、ニキビなどの改善に役立ちます。

 ローズヒップティーとはローズヒップから作ったハーブティーのことです。

 ローズヒップの小さじ山盛り1にティーカップ1杯分の150~180の熱湯を用意します。

 1 ティーカップとポットは、あらかじめ温めておきます。ティーポットに作りたい分量のローズヒップを入れます。エキスを出
   しやすくするために、軽くつぶしてから使っても構いません。

 2 ティーポットに沸騰した湯を注ぎ、ふたをして、5~10分蒸らします。温度や香りを保つため、ポットは必ずふたをします。

 3 茶こしを使って注ぎます。茶こしは目が細かいほうが、ハーブ片を取り除けます。甘みをつけたい場合は、はちみつや三温糖
   がおすすめです。

 アイスティーにしたい場合は、ホットよりも濃いめに入れて、氷いっぱいの容器に注ぎます。お茶を入れたあとの実は、そのまま食べたり、料理に使ってみてはいかがですか。

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