Train Library No.09

Train Library No.09表紙

あなたはもう読んだ?~オススメ鉄道本~

鉄道と国家 「我田引鉄」の近現代史 小牟田 哲彦/著 講談社

「家の前に駅があったらどんなに便利だろう」「最寄りの駅に快速が停まれば、東京まで早くいけるのに…」「やっぱり複線が欲しい」誰もが一度はそのように考えたことがあるのではないだろうか。
 この狭い日本の国土には、最速級の新幹線から長閑なローカル線まで、さまざまな列車が走っている。その多くは、経済合理性の観点だけで建設されたわけではない。路線をどこに引き停車駅をどこにするのか。その決定には、各地方が中央政界に持つ発言力の強さ、すなわち「政治力」がものをいい、まさしく『我田引鉄』で作られたという。この本は鉄道と政治の結びつきについて、鉄道黎明期である明治から現代までの鉄道史を紐解き、具体的なエピソードとともに紹介している。
その路線がつくられた背景に思いをはせ、この夏、現地を視察する気分に浸ってみるのも良いかもしれない。

地形で読み解く鉄道路線の謎 首都圏編 

鉄道敷設時の周辺の地形に着目し、豊富な地図や写真を用いながら、東京を中心とした首都圏の鉄道について、何故そこに引かれたか、あるいは無くなったかをこの本は解き明かしていきます。
路線図等では円形で表される山手線の路線が、実際はいびつな形だったり、線路がやたらと曲がりくねっていたりするのも、地形が大きく関係しているようです。
地形という今までにない観点で鉄道路線に迫っている本書。普段気にも留めないような地形に対する見方が変わる一冊です。本書に載っていない鉄道路線の謎も解明してみてはいかがでしょうか。

首都東京 地下鉄の秘密を探る 歴史・車両・駅から見た地下路線 渡部 史絵/著 交通新聞社

1927年12月30日、上野から浅草への路線の運行をもって、日本の地下鉄の歴史が始まりました。今では数多くの路線が開通し、日々多くの電車が東京の地下の中を入り組む形で走り回っています。
この本では、その地下鉄の歴史からどのようにして現在の地下鉄運行のネットワーク築くに至ったのかを紹介しています。
幻の新橋駅など、思わず友人に語りたくなってしまう豆知識や、なぜ地下鉄には、ホームドアが設置されているかなど、「なるほど!」とうなずいてしまう情報も満載です。地下鉄に乗った際のお供に、ぜひどうぞ。

コラム

緻密なダイヤで時間通りに発着する日本の鉄道は、長い間国の誇りとされてきましたが、近年では短時間の遅延が慢性的に発生し、問題視されるようになっています。国土交通省の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」でも遅延対策が課題として取り上げられ、資料によると30分以下の遅延のうち6割以上が利用者に起因するものとなっています。遅延解消のためには、事業者側の対策とともに利用者のマナー向上も必要になりそうです。

資料案内

新着資料の中から注目の1冊を紹介します。

音鉄 音で楽しむ鉄道の世界 片倉 佳史/ ワニブックス

鉄道の様々な音に魅了された著者が、駅のメロディ音・車内音・踏切の音・車内放送などの鉄道音の楽しみ方や録音テクニックなど、「音鉄」の世界を分かりやすく解説した一冊です。

編集・発行:大宮西部図書館 さいたま市北区櫛引町2-499-1  TEL 664-4946

編集後記

鉄道ファンの中には、上記で紹介した「音鉄」のほかに、時刻表を読み、その知識を深めることを目的とする「スジ鉄」や、各地の駅弁を食したり、弁当のパッケージを収集したりすることを目的とする「駅弁鉄」など、趣味の多様化に伴って様々な鉄道ファンが存在しているようです。