バラのまちだより No.6

バラのまちだより No.6表紙

みんな大好きゲーテの「野ばら」

軽快な4分の2拍子、それともゆったりと流れる8分の6拍子、あなたが口ずさむ「野ばら」はどちらですか?おそらく前者はシューベルト、後者はウェルナーが作曲したものでしょう。どちらも歌詞は同じ、詩人ゲーテがドイツに伝わる民謡をベースに書いた詩「野ばら」です。

同じ歌詞で2種類のメロディーが歌われているなんて珍しい、と思いきや、実は2種類どころではありません。

ドイツ文学研究家の坂西八郎氏は、この同じ歌詞の異曲が、なんと154曲も存在することを発見しました。なかには同じ人が2曲、3曲と書いている例も。坂西氏はドイツの友人たちの協力も得て、長年にわたり蒐集・研究にはげみ、このうち88曲(のち91曲)を集めた楽譜集を出版しました。この楽譜集をもとに「野ばらコンサート」が各地で開催されたこともあります。

日本語の歌詞は近藤朔風、尾上八郎、古関吉雄など。曲がついていない詩のみの翻訳も数えると森鴎外、秋元喜久雄など20人以上の人が日本語訳を手がけています。

愛の喜びと苦しみをあらわしているとも言われるこの詩。いかに長年にわたり多くの人びとに愛されてきたか、曲や訳詩の数からもよくわかります。

参考

バラにまつわるこんな本はいかがですか?

  • 「小さいお嬢さまのバラ」 ファージョン作 石井桃子訳
    「おはなしのおもちゃ箱 2」 PHP研究所「天国を出ていく」 岩波書店

    丘の上のりっぱなお屋敷に、たったひとりで住んでいるお嬢さま。遊び相手はいないし、自分でパイを焼いたことも、畑を耕したこともありません。世界一美しいバラ園を歩いたり、石段の段々を数えてすごしています。

    パイを焼くのが得意なメアリと畑仕事が得意なジョンは、ふもとの村で両親と暮らしています。ある日ふたりは、丘の上から川を流れてきた、2輪の素晴らしいバラの花を拾いました。バラの木をもとめて丘を上って行ったふたりに、お嬢さまは…。

~プラトニックな深い愛~

  • 「ヴェネツィアの薔薇 ラスキンの愛の物語」 ミッシェル・ロヴリック&ミンマ・バーリア著 角川書店

    イギリスの美術評論家、社会思想家で、建築に関する著作や絵画など、多彩な才能を持っていたジョン・ラスキン。39歳のときに、まだ10歳の少女ローズに出会い、激しい恋におちる。

    ローズの両親の猛反対で引き離され、ローズ自身にも求愛を拒まれ、その態度に翻弄されるが、苦悩しながらも愛し続けた。

    しかし、成長とともに次第に心身を病んでいったローズは、27歳でこの世を去ってしまう。哀しみにすさんだ心を抱えてヴェネツィアを訪れるラスキンは、美術館で画家カルパッチョの「聖女ウルスラ伝」連作絵画に魅せられる。聖女ウルスラはローズにそっくりだったのだ。

    死後もなお変わらぬ愛情と、美しいヴェネツィアの街に、傷ついた心が癒されてゆく。

~パワフル珍道中~

  • 「砂漠のバラ バルカンのバラ 女子走破隊 サハラ・東欧ニ万キロ」 森宏子・小倉菫子・田村協子・吉見愛子著 集英社

    サハラ砂漠の砂中にあるという、バラの花に似た石が見たい-。南米やニュージーランドなど世界各国を渡り歩く旅好き女4人組、その名も「日本女子地球走破隊」の今回の行き先は、地中海と東欧に決まった。世界一のバラ油生産国で、毎年バラ祭りが開催される「バラの谷」があるブルガリアも含めて15か国を、約三か月かけてドライブする計画。年齢も職業も異なる4人が、抜群のチームワークと旺盛な好奇心を原動力に、にぎやかに駆けぬけてゆく。

    果たして炎天下での「砂漠のバラ」掘りの成果は?ブルガリアのバラ祭は堪能できたのか?…それは読んでのお楽しみ。

    小倉氏のサイト(http://www.tees.ne.jp/~oriental/ogura/)でも、全文を読むことができます。
    (↑外部サイトに接続されます。ご了承ください。)【2008/10/31最終確認】

ウメもバラ、リンゴもバラ -バラのなかまたち-

美しい花で私たちの目を楽しませてくれる、一般に園芸品種として栽培されている「バラ」は、分類学上では「バラ科」の中の「バラ属」に分類されます。分類を調べると、バラの仲間の意外な関係がわかりました。

名前は「バラ」だけど…クリスマスローズ

「キンポウゲ科」の「ヘレボルス属」で、バラの仲間ではありません。クリスマスの時期にバラのような花が咲くことからこう呼ばれています。

名前はちがうけど、立派なバラ…ハマナス

漢字で「浜茄子」。日本に自生する野生の花で、分類は「バラ属」。学名は「ロサ・ルゴーサ」英語で「ジャパニーズ・ローズ」とも呼ばれています。

「バラ属」ではないけれど…バラの親戚たち

イチゴ(オランダイチゴ属) ウメ、モモ、アンズ、サクラ(サクラ属)、ビワ(ビワ属)、リンゴ(リンゴ属)…などなど、どれも「バラ科」の植物です。

参考

バラのまち中央区 アートフェスタ

区民会議から生まれ、2006年から始まったアートフェスタ。毎年、蔵づくりの家、さいたま新都心けやき広場、彩の国さいたま芸術劇場、中央区役所ロビーコンサートと、区内の各地でコンサートが開催されます。日時等詳しくは「市報さいたま」やwebサイト、チラシ・ポスターで随時ご確認を。