バラのまちだより No.31

秋のバラも美しい!

 バラといえば春のイメージが強いですが、秋に咲くバラも見ごたえがあります。秋に咲くバラと言っても「秋のみ咲くバラ」という訳ではなく、その多くは四季性があり、秋にも花を咲かせているのです。

 ここでは秋にも咲くバラを紹介していきます。まず、モダンローズには四季性の品種が多く存在します。例えば、ブッシュ系には、四季咲き性の品種が多く、大輪咲きのハイブリッドティや、中輪房咲きのフロリバンダローズ、小輪房咲きのポリアンサローズなどがあります。

 また、オールドローズでも秋に咲く姿が見られる場合があります。例えばチャイナ系は中国原産のロサキネンシスを改良してできた系統で、その多くの品種で四季咲き性があります。ポートランド系は秋に少し咲くオータムダマスクにチャイナ系のスレーターズクリムソンチャイナが交配されてできた系統で、この系統も多くの品種で四季咲き性があります。

 ここで紹介したもの以外でも秋に咲く品種は数多くございます。 秋のバラにも注目してみてください。

参考資料

新しいバラを求めて~バラの品種改良~

 小輪から大輪、一重咲きから八重咲き、花色も豊富で、庭園用から切り花まで、さまざまなバリエーションがあるのが特徴のバラ。その品種は数千以上に上ります。それらはどうやって生み出されたのでしょうか。

バラの品種の増やし方

 バラの品種の増やし方には2つの方法があります。

 一つは、栽培中に起こる枝変わり(自然突然変異)を発見し、増殖する方法。ピースから枝変わりして生まれたつるピース、ドロシー・グッドウィン、シカゴ・ピース、クローネンブルグなどが例として挙げられます。

 もう一つは、人工的な交配による品種改良。その中心になったのがフランスやイギリスで、特にフランスでは、18世紀の終わりから19世紀にかけて、ときのナポレオン皇帝の妃ジョセフィーヌが、マルメゾン宮殿の庭に250種類に上るバラを集め、そこで交配されたバラから、多くの新しい品種が生まれました。

品種改良と日本のバラ

 ヨーロッパでのバラの品種改良においては、実は日本原生のバラも一役買っています。ノイバラはバラに多花性を導入する重要な役割を果たしました。テリハノイバラの地上を長く這う茎の形質は、つるバラの改良に欠かせないものです。ハマナスは耐寒性、耐病性(黒星病、うどんこ病)品種育成のための素材として利用されました。

~まだ見ぬ新しいバラを求めて、今日も多くのバラ育種家たちが品種改良を手がけています~

バラの新品種をつくってみよう

 

 ①両親の決定

 種をつけさせる母株、花粉を取る父株を、それぞれの花の色や形などを考えて決める。
 例)深紅のバラをつくりたい!→花の形は良いが色が明るすぎる母株に、黒みの強い赤花の父株をかけ合わせてみる。

 

 ②交配する(4月中旬~5月下旬)

 父株からとった花粉を母株に受粉させ、交配する。
 父株:あらかじめ葯(雄しべの先についている花粉の入った袋)を取り出し、十分に乾燥させておく。葯が開いて花粉が出たら交配開始。
 母株:あらかじめ花弁と雄しべを取り除き、袋をかけておく。1~2日経ってから、袋を外して受粉させる。受粉後、母株の花は袋をかけて保護する。

 

 ③実を取る(11月頃)

 交配が成功した株からできた実を取り、乾燥させないようにポリ袋に入れて保存する。

 

 ④種をまく(12月)

 保存していた実から取り出した種をまく。早いものは2週間くらいで発芽!

 

 ⑤選抜(5月頃)

 バージンフラワーが咲き始める。花色・花形が良く、花弁数が15~20枚あるもので、目標に合うものを選抜する(一次選抜)。選ばれたバラは継続して育て、二次選抜を行う。

 

 ⑥接ぎ木と栽培試験(切り花用品種の場合)

 二次選抜を通過した苗は接ぎ木苗をつくり、栽培試験を行う。樹性、トゲの状態、水あげなどの条件、切り花の美しさ、切り花本数、花の本数などを見る。

 

 ⑦品種登録

 試験結果の良いものを品種登録出願する。登録OKされたら、新品種誕生!
(※出願~登録まで2~3年かかる)

参考資料

~ 発見されたバラの化石を紹介します ~

 バラはいつから存在していたのでしょうか。それについて明確に知ることはできませんが、大昔からバラが存在していたことを示すものとしてバラの化石があります。バラの化石は世界中にあるものではなく、北半球からのみ発見されています。

 ここでは、発見されたバラの化石を紹介します。

・中国で発見された化石

 保存状態の良いバラの葉の化石が、2012年に中国雲南省で発見されました。この化石は約2500万年前から500万年前のものです。発見された化石のバラの葉は、中国南西部に自生するバラの野生種「ロサ・ヘレナエ」と直接的なつながりがあることがわかっています。参考資料に化石の写真が掲載されていますので、ぜひご覧ください。

・北米で発見された化石

 バラの種類はわかりませんが、北米でもバラの化石が発見されています。この化石は約5600万年前から3390万年前のものと考えられています。

参考資料