バラのまちだより No.19

バラの図案の包装紙

 お店でもらう袋や包装紙、おしゃれで素敵なデザインだとうれしいですね。百貨店では、包装紙はお店のイメージだけではなく、信用をも示す大切なものとして、各店とも趣向を凝らしています。例えば三越の白地に赤の抽象形の包装紙は、デザインを洋画家の猪熊弦一郎が、ロゴレタリングを当時三越の宣伝部にいたアンパンマンの作者やなせたかしが担当し、「包まれる品物の大小に関わらず、どの角度から見ても図柄が美しいもの」として作成されました。

 呉服店が百貨店にかわる明治時代頃から包装紙が作られ、バラの包装紙で有名な髙島屋の呉服店時代の図案は、丸髙マークに七宝模様というものでした。1952年(昭和27年)に「1年を通じて美しさと香りを失わないロマンチックな花。そして世界の人々に愛され親しまれる気品高き花」との理由でバラをシンボルフラワーとして採用し、バラをモチーフにした包装紙が生まれました。1980年(昭和55年)、当時髙島屋宣伝部にいた洋画家の高岡徳太郎が新たに「モダンローズ」をデザインし、私たちのよく知るバラの包装紙ができました。

参考資料

撮影術Q&A

Q.撮影にはどの天気が向いている?

A.どの天気でも向いています
 晴天時は日向と日陰には明暗差があり、日向に花が咲いていて、背景が日陰なら、真っ黒な背景ができあがります。引き締まった印象の画面です。
 とはいえ晴天だけがシャッターチャンスとは限りません。曇りは光が柔らかいので影が出にくく、雨が降っていれば水滴が美しいものです。特に曇りの日には雲によって光が拡散され、とても柔らかな光が注ぎます。しっとりと写したい場合に向いています。

Q.どうしたらきれいな写真になる?

A.コツは背景にあります
 ピントはバラに合わせ、背景はぼかすと光あふれる写真になるようです。
 庭で撮る際は周りの人工物が写らないようにグンと迫り、中心部だけを切り取れば花びらの美しさが伝わります。また背景が入る場合は下から見上げて空を背景にするか、大きくぼかせば気にならなくなります。
 花畑では同じ花がたくさん咲いていて、背景も同色になりがち。花を引き立てるアングルを探して周囲を動き回り、撮影位置や高さを変えて、背景を他の色にできないか探してみましょう。主役が埋没しないよう、メリハリのある背景を選ぶことが大切です。

Q.おすすめの時間帯はある?

A.風景として写すなら朝か夕方
 花は接写しがちですが、風景として撮るなら朝か夕方の時間帯を狙うのもおすすめ。太陽が低い位置にある時間帯では斜めからの光が射し、被写体に立体的な陰をもたらしてくれます。奥行きがでて立体感のある写真に仕上がります。

Q.季節はいつがいいの?

A.ズバリ秋!
 太陽が低い位置を通過するため陰影が出ます。

Q.どこにピントを合わせればいい?

A.中心付近の花びらの先端を狙って
 花の場合、基本的には花の要となる中心部に合わせます。雄しべが見えている場合にはそこに合わせますが、バラのように花びらが覆って雄しべが見えない場合は、中心付近の花びらの先端に合わせます。

参考資料

カルメンと赤いバラの秘密

 皆さんは「赤いバラが似合う女性」と聞いて誰を思い浮かべますか?一輪のバラを口にして踊るカルメンと答える方も多いのではないでしょうか。
 『カルメン』はフランスの作家プロスペル・メリメが1845年に発表した小説です。この小説では、ジプシーの女カルメンが口にくわえるのは、赤いバラではなくフランス語で「カシー」と呼ばれる黄色いアカシアの花なのです。では、この赤いバラのイメージはどこからやってきたのでしょう。
 1875年フランスの作曲家ジョルジュ・ビゼーがメリメの小説をもとにオペラ『カルメン』を発表しました。当初、舞台では原作に忠実に黄色い花が使われていたようです。20世紀になり、多くの映画で『カルメン』が題材として取り上げられました。いずれの映画でもカルメンは赤いバラを口にしています。それは黄色より赤色のほうが舞台映えすること、そしてカルメンをより情熱的な女性として見せるための演出上の理由だったのではないかといわれています。その姿がカルメンにぴったりだったからこそ、カルメンと赤いバラというイメージが定着したのではないでしょうか。

参考文献