バラのまちだより No.15

バラのまちだより No.15表紙

戦国武将と薔薇

薔薇

庭下留春暁露濃    庭下に春を留めて暁露濃(こま)やかなり
浅紅染出又深紅    浅紅染め出(いだ)す 又 深紅(しんこう)
清香疑自昆明国    清香 疑うらくは 昆明国よりす
吹送薔薇院落風    吹き送る薔薇 院落の風

満院薔薇香露新    満院の薔薇 香露新たなり
雨余紅色別留春    雨余の紅色 別に春を留む
風流謝伝今猶在    風流の謝伝 今なおあり
花似東山縹渺人    花は東山 縹渺(ひょうしゃ)の人に似たり

引用:『改訂 甲陽軍鑑 上』 磯貝正義ほか/校注 新人物往来社 (埼玉県立浦和図書館所蔵)

大意

 暁の露は庭に春を留めるかのように、濃く浅く、紅色が満ちている。昆明国から漂って くるような清らかな香りのもとはバラの花である。また、庭(院)いっぱいのバラに新鮮な露が あって雨上がりの紅色はことに春を感じる。風流の人と伝わる謝安が隠遁生活を送ったと いう東山。花はひょうひょうとしたその人のようである。

この漢詩は、武田信玄が晴信と名乗っていた19歳の時に作りました。 2つめの漢詩に登場する謝安とは中国・東晋の人で若いころ隠遁生活をおくり、のちに政治家としても武将としても成果をあげた人でした。信玄の目指す理想の人だったのかもしれません。

今回はローズさんやローズちゃんが主人公の本をご紹介します!

『ローズ・ベルタン  マリー=アントワネットのモード大臣』ミシェル・サポリ/著 北浦 春香/訳 白水社

ファッションに莫大な国費をつぎ込んだフランス王妃マリー=アントワネット。そのお気に入りのモード商(デザイナー)だったのがローズ・ベルタンです。
ベルタンの身分は当時最下層とされた平民でしたが、毎日のようにアントワネットの私室に呼ばれました。ベルタンは誰に対しても強気で、帽子を注文するために来店した侯爵夫人を冷たくあしらったり、ポルトガル王室からの値引き要求をはねつけたりしています。
 アントワネットをはじめとして多くの女性たちに浪費をさせたとして、悪名高いベルタンですが、この本では彼女の功績も述べられています。ベルタンの店のドレスや帽子がヨーロッパ中に輸出されたので、パリはファッションの都としての地位を得ました。また、彼女が雇っていたお針子や店員には十分な給料が支給されており、多くの女性の自立に貢献しました。ファッションが一大産業となる礎を築いた人でもあるのです。
 なお、「ローズ」というのは後世につけられたニックネームで、彼女の本名は「マリー=ジャンヌ・ベルタン」といいます。なぜ、「ローズ」と呼ばれるようになったのかは不明ですが、、華麗なファッションを作り出した彼女にはふさわしい称号ではないでしょうか。

『ふくろ小路一番地』イーヴ・ガーネット/作 石井 桃子/訳 岩波書店

ラッグルス家の一番上の娘の悩みは自分の名前。彼女の名前はリリー・ローズといいますが、ぽっちゃりした彼女はリリー(ユリ)にもローズ(バラ)にも似ていません。
 リリー・ローズの夢は最新式の洗濯屋になること。ある日、リリー・ローズはかあちゃんの留守に緑のペチコートにアイロンをかけます。すると……。

『ロッキーリッジの小さな家 新大草原の小さな家』ロジャー・リー・マクブライド/作 講談社

 アメリカ開拓民の家族を描いた『大草原の小さな家』の主人公・ローラは娘を「ローズ」と名付けました。7歳のローズは両親とともに幌馬車にのってミズーリへと旅立ちます。
 両親の愛に包まれて、のびやかに成長する少女の物語。

インテリアにバラを

トールペイント

 トールペイントとはヨーロッパで生まれた伝統装飾の技法で、ブリキ製品を飾ったのがはじまりと言われています。現在では、さまざまな素材の家具や雑貨を彩るものとして楽しまれています。
 『石田和美のトールペイント ローズコレクション』(石田 和美/著 日本ヴォーグ社)は、バラの種類、描き方の難易度別のサンプルが載っていて、自分の習熟度に合わせてバラのトールペイントが楽しめるようになっています。

ローズマリング

 トールペイントのいくつかの技法のうち、17~18世紀ごろノルウェーの農家の人々が生活の中で描いた絵を発祥とするのがローズマリングです。バラをはじめとする植物をデフォルメした独特の図案が特徴です。
 『はじめてのローズマリング』(小嶋芳枝/著 日本ヴォーグ社)は、初心者のためにローズマリングの基礎から応用を紹介しています。

中央区はばらのまち・・・写真もいいけれど

 携帯電話のカメラ機能や一眼レフカメラの普及で簡単に風景を手元に保存できるようになりましたが、風景や花をスケッチするのも素敵です。
 今年の与野公園のばらまつりは5月18日(土)・19日(日)。色鉛筆とスケッチブックをお伴に加えてはいかが?