バラのまちだより No.11

バラのまちだより No.11表紙

バラと戦争

百年戦争(1337~1453)終結から2年後に始まる、イングランドの内乱を「バラ戦争」といいます。この戦争は2つのバラを生みました。

バラ戦争は1455年、イングランド・ランカスター朝国王ヘンリー6世に対し、ヨーク公リチャードが王位を主張して決起したことにはじまります。1485年のヘンリー7世の即位によるテューダー朝成立までの30年間、内乱は続きました。ヘンリー7世はランカスター家の血をひいていましたが、1486年にヨーク家のエリザベスと結婚し、両家の和解は成立しました。

「バラ戦争」の名前の由来はランカスター家が紅いバラを、ヨーク家が白いバラを紋章としたことから、とされます。両家の争いを収めたテューダー朝の紋章「テューダーローズ」は、花弁の外側が紅色、内側が白色のバラで、ランカスター家とヨーク家の融合を表しています。

もう1つは「ヨーク アンド ランカスター」という品種です。花弁の色はピンクと白で、不規則な模様になっている場合と2色に塗り分けたようになっている場合とがあります。こちらも両家の融合の史実から命名されました。

バラには戦争よりも融和がふさわしいようです。

参考文献

バラといえば英国ですね!

2011年4月29日のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚を祝して、バラと英国にちなんだ本のご紹介です。

『バラ図鑑300』 英国王立園芸協会/編 日本ヴォーグ社

英国王立園芸協会は園芸を愛する世界中の人々のために作られた特別公益法人で、エリザベス女王が総帥を務められています。

この本は庭に植えるバラを選ぶための手引書として作られたもので、品種の紹介を中心に手入れ法や用語の解説が書かれています。バラの色や香りについての記述が詳しいことが特徴です。

たとえば、レディーヒリンドンという品種は「柔らかいアプリコット黄色の花が銅色がかったアプリコット色の蕾から咲く」と紹介されています。

ドゥレシュトの香りの欄には「強く甘く陶酔させる」、バンデルの用途の欄には「ボタンホール飾りに最適」というように、この図鑑ならではの表現がみられ、ついじっくりと読んでしまいます。

イギリスの園芸家のバラへのこだわりが感じられる一冊です。

『英国流バラのある暮らし』 ジリー・ラブ/著 ケイ山田/監訳 メディアファクトリー

バラの育て方だけでなく、切り花の扱い方や器との組み合わせ、ドライフラワーや香り袋、バラの香りのハンドクリームやバラの花びらの砂糖漬けの作り方など、バラの様々な楽しみ方が紹介されています。

『レイチェルのバラ』 バーナデット・ワッツ/絵 カレン・クリステンセン/文 八木田宣子/訳 西村書店

イギリス人画家の温かい絵でつづられた絵本です。

レイチェルはおばあちゃんからすてきなバラの花束をもらいます。ところが、バラはやがてしおれてしまって・・・。

つるバラもいろいろ

窓の周囲を飾ったり、華やかなアーチを作ったりとロマンチックなイメージのつるバラ。枝の性質によって大きく4つに分類されます。

  1. クライミングローズ
    一般的につるバラ、というとこのタイプを指します。株立ち性で、上に向かって枝が伸びます。高さのある壁面にお勧め。
  2. ランプラーローズ
    アーチ型を描く枝が四方に長くのびるタイプです。パーゴラといってあずまやのようなものと一体となる仕立てが向きますが、高さのある崖の頂部から枝を垂らす方法もあります。
  3. クリーピングタイプのランプラーローズ
    枝が地面を這うように伸び、土に触れた部分から根を下ろします。柔らかい枝の品種が多く、適応性が高いのが特徴で、フェンスやポールなどに絡ませるのに向いています。
  4. シュラブローズ
    木バラとつるバラの中間の樹形で、ブッシュ(藪)ローズに近いものも含み、品種によって表情が異なります。窓の周辺やトレリスなどに適します。

参考文献

中央区はバラのまち…バラのまちだより、11号です。

さいたま市では「緑のサポーター」に登録してくださった方に、緑のカーテンにできるゴーヤの種とゴーヤの育て方の手引きを差し上げています(なくなり次第終了)。クリーピングタイプのランブラーローズを使えば、つるバラのカーテンもできそうです。