バラのまちだより No.9

バラのまちだより No.9表紙

薔薇の名台詞 ~シェイクスピアとバラ~

「わたくしたちがバラと呼んでいる花の名前を変えたところで、花の香りに変わりはないはずなのに…」

『ロミオとジュリエット』の名場面のひとつ、バルコニーでロミオに愛を訴えるジュリエットの台詞です。

シェイクスピアの作品には実に頻繁にバラが登場します。一説によると70回以上(ユリは23回、スミレは19回)も現れているそうです。英国王室の紋章であり、薔薇戦争の和平の象徴でもあったバラは、イギリスの人々に特に愛された花だったのでしょう。

シェイクスピアが活躍した17世紀の頃は、バラは夏にしか咲かず、また咲いてもすぐに散ってしまう花でした。そのため若さやはかなさの象徴ともされました。『ハムレット』では悲しみのあまり狂ってしまったオフィーリアの姿がバラにたとえられています。

「…おお、五月のバラよ!…うら若いおとめの心が、老人の生命と同じく、こうもはかなくてよいものでしょうか!」

参考

バラにまつわるこんな本はいかがですか?

和平という薔薇の木を

アイルランドのスライゴーにある湖畔の小さな宿屋で一人の宿泊客が殺された。被害者は南北アイルランド統一を目指すテロリスト集団の副議長。逆上するテロリスト達を機転で抑えたのは、同僚とドライブに来ていた日本人科学者フジ。フジは鋭い観察眼と論理的な推理力で、真相を解き明かしていく。 読者には、物語の序盤で、宿泊客の中に正体不明の一人の殺し屋が紛れ込んでいることが知らされる。若いアメリカ人女性2人、オーストラリアのビジネスマン、サイクリング途中の若者、美しい女主人、忠実なコック…偶然居合わせただけに見えた宿泊客達それぞれが持つ裏の顔、過去の悲劇や因縁が、徐々に明らかになる。犯人は誰なのか、殺し屋と同一人物なのか。読み進むにつれ宿泊客の誰もが疑わしく思えてくる。たたみかけるような推理展開に最後まで息つく間もない。 「アイルランドの薔薇」は、イェイツの詩に登場する自由の象徴。みずからの血を流すこともいとわず、和平という薔薇の木を育てようとする登場人物の熱い想いに心打たれる。

薔薇に襲われた新宿を救え!

ある朝、新宿一帯が、突然出現した無数の青い薔薇に覆われた。薔薇の蔓は生き物のように動き、触れたものすべてを青い結晶に変えてしまう。道も人も建物も、ドーム状に伸びた薔薇の壁に閉じ込められてしまった。いったい何が? ミステリ好きの中学生・竜太と麻子は謎解きに乗り出す。やがてたどり着いたのは、新宿を拠点に地球侵略をたくらむ、異世界の邪悪な魔術師の存在。竜太と麻子は魔術を断ち切る「鍵」を手に入れるため、未知なる異世界への冒険の旅に出る。 『パソコン通信探偵団事件ノート』シリーズでおなじみの著者のデビュー作。

くらしに彩りをそえる 手作りするバラの本

刺繍

編物

造花

切り紙

フラワーアレンジ

昔のバラはどんな花? オールドローズとモダンローズ

バラの花というと華やかであでやかな色合い、華麗なイメージをまず思い浮かべる方が多いでしょうか。実は、シェイクスピアの戯曲に登場したバラや、ルドゥーテがマルメゾンで描いた『バラ図譜』の花は、現在のバラとはすこし違った姿や咲き方をしていたようなのです。品種改良が進んだ「モダンローズ」に対し「オールドローズ」、正式には「オールドガーデンローズ」と呼ばれています。「オールドファッションローズ」や「クラシックローズ」と呼ばれることも。

区別は明確ではないようですが、品種改良により最初の「ハイブリッドティ」である「ラ・フランス」が生まれた1867年を、オールドローズとモダンローズの境目であると言うことが多いようです。

日本の野生種、ノイバラやサンショウバラ、ハマナスなどもオールドローズの一種と言えるでしょう。

「素朴」「清楚」「可憐」といった言葉が似合うオールドローズの花たちは、モダンローズとはまた違った魅力でわたしたちを楽しませてくれます

参考

中央区はバラのまち…今年のバラも元気です

この春は気温の変動が激しく、バラの健康が心配でしたが、5月に入ると初夏のさわやかな風とともに見事な花が咲きそろい、ひと安心。

与野本町駅から与野図書館へむかうときも、駅前や中央区役所周辺で色あざやかな花々が出迎えてくれます。身近な花散歩、今年もどうぞお楽しみください。