バラのまちだより No.12

バラのまちだより No.12表紙

バラにまつわる伝説

古くからバラは美や愛、快楽の象徴とされていました。ギリシア神話にはバラがまつわる伝説があります。そのうちの2つを紹介します。

「花の女神クロリスはニンフの亡骸が眼に入った。それがあまりにも美しかったので、女神はこの世で最も美しい花に変えてやろうと考えた(略)美の女神アプロディテは美しさを、優雅の3姉妹は光輝と歓喜と魅力を、西風ゼピュロスはアポロンの陽光を、酒神ディオニュソスは甘い蜜と高貴な香りを与えた。こうして誇り高い花の女王バラが誕生したが、死をイメージさせる青だけは除いてやった。」

「エロスが、開きはじめた美しいバラにキスをすると、中にいたハチが妬んでその唇を刺した。激怒した母のアプロディテはたくさんのハチをとらえたが、まだ腹の虫が収まらず、ハチの針をつぎつぎ抜き取ってはバラの茎に植えこんだ。バラが棘だらけなのはこういうわけなのだ」

参考文献

薔薇が出てくる小説を紹介します。

『バラ色の怪物』 笹生陽子/著 講談社

発端は、母のママチャリが盗まれたことだった。遠藤はその自転車を探しまわって、寝不足で倒れた。倒れた時にメガネが割れた。遠藤はメガネ代を稼ぐために、母にも学校に内緒で、アルバイトをするはめになった。仕事しない?とクラスメートに言われて、「行動する中学生の会/代表三上ハルヒコ」に出会ってしまった・・・。

『薔薇を拒む』 近藤史恵/著 講談社

“三年間住み込みで働いて、その後大検を受けて大学に受かれば、私立大学でも四年間の学費と生活費は光林氏が負担してくれる”という。そんな条件で、身寄りのない博人は、施設から和歌山の山奥にある屋敷へ向かった。そこで待っていたのは、光林氏の奥様、小夜お嬢様、家庭教師の門倉。やがて、この都会から遠く離れた陸の孤島で、殺人事件が起きて、少しずつ人間関係は明らかになっていく。

『恋と恋のあいだ』 野中柊/著 集英社

フォトグラファーの早季子、インテリアデザイナーの遼子、大学院生の悠は8歳ぐらい離れた年齢ながらもほどよい距離を保って友情をはぐくんでいる。悠の父に惹かれる遼子、仕事仲間と恋をするようになる早季子、本当の友情なのか。本当に愛しているのは誰なのか。章ごとに視点が変わる連作短編集。年齢の異なる女性たちの友情と恋を描く。

『薔薇連想』 渡辺淳一/著 朝日文庫

「水虫かしら?」氷見子の右足の裏にバラのような湿疹ができた。痛くも痒くもないが、半月ほどすると、左足の裏にも同じような発疹ができていた。きっと劇団の稽古場で仲間にうつされたのだわ。皮膚科で検査してもらって、水虫用の薬を塗ればすぐ直る、と安易に考えていた氷見子だが、検査の結果は予想を裏切るものだった・・・。

このほか、

『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉著 小学館

の第3話に「綺麗な薔薇には殺意がございます」があります。バラがどんな使われ方をしているでしょう?ぜひ読んでみてください。

バレエとバラ

バレエの中にも薔薇が使われているものがあります。そのうちのひとつ、「眠りの森の美女」の一場面をご紹介します。ぜひ映像でもご覧ください。

眠りの森の美女 第1幕 ローズアダージョの場面のあらすじ

今日はオーロラ姫の16歳の誕生日。幕開きで、禁をおかして糸紡ぎをしている人が発見され、処刑される。やがて宴がはじまり村の娘たちが大きなアーチ型の花輪を手にして美しいワルツを踊る。(略)

そこへ輝くばかりに美しいオーロラ姫(略)。四人の貴公子がオーロラ姫に求婚する踊りが繰り広げられる。その導入の「ローズ・アダージオ」は、貴公子が手にした薔薇を姫に捧げることからその名があるのだが、ポアンドでずっとアチチュードに立った姫が、四人につぎつぎ手を預ける間、ずっとその姿勢を保つところがあって、この箇所はどのような熟練したプリマバレリーナでも緊張するといわれる難技である。

『バレエ101物語』ダンスマガジン編 新書館 村田 晴夫/著 の抜粋

さいたま市図書館にはDVDやビデオの「眠れる森の美女<全幕>」を所蔵しております。どうぞご利用ください。